2021年7月22日木曜日

福者御聖体のマリア・イネス・テレサの帰天40周年

  

「はい、神に感謝です。もう終わりました。」 

  マドレ・テレサ・ボテージョ副総長が修道会のすべての姉妹達に宛てた手紙の抜粋

(福者マドレ・マリア・イネス・テレサの最後に付き添った副総長の手紙)




午後5:30頃、昼食を食べさせるためにベッドに腰掛けさせました。召し上がったのは肉汁をコーヒーの小さいカップ半分位と、そこに細かく切ったクラッカーの2枚位、これは出来るだけ毎日出しています。ひと匙ずつ召し上がり、プラタノマチョ(バナナ)を3切れくらい。「美味しいですか?」と聞くと、「とても美味しい」と答えました。娘たちが持っていくものに美味しくないものはありません。すべては「とても美味しい」と言われました。プラタノマチョの次にミルクコーヒー23匙と少しの人参ジュース、そして少しの水と、消化を助けるために先生から勧められた胃薬(シトロソディナ)を差し上げました。シトロソディナの最後の一杯を差し上げて、私が言いました。「終わりました、ヌェストラ・マドレ、神に感謝」。そして彼女がはっきりした声で繰り返しました。「はい、神に感謝です。もう終わりました。」それから実際に2時間くらいその位置と姿勢でしたので、「その位置で疲れてはいませんか?」と尋ねると、「はい、とても疲れています」と答えられました。

 食事を食べさせるため胸の上においたナプキンを取り上げると、何かこぼれていることに気が付いて、白い寝間着の襟まで濡れていました。 (白い寝間着を着ていたのは永遠の婚宴に出る様、白い服を着ていなければならないと言っていたからです)ちょっと濡れていただけでしたので、落ちたものは恐らくシトロソディナだったのでしょう。 それで私は言いました。 「ああ、今はシトロソディナが首の為にもなるでしょう。見て下さい、私がこぼしてしまいました。少しシッカロールパウダーをかけましょう。」シッカロールパウダーをとり、首に付けようとしたとき、彼女が鼻から息を吸い込み、ため息のような特別の呼吸をしました。私がじっと見ていると、もう一度ため息をしましたが、今回は鼻からだけでした。ロは閉じていて、手はきちんと足の上に置いてありましたが、顔をみると、最後の呼吸だと分かりました。すぐにエルマナスに言いました。 「エルマナス、ヌェストラ・マドレが息を引き取っています」そして祈り始めました。 イエズス、ヨセフ、マリアよ・・・

(病気という十字架より)

1981年7月22日に、福者マドレ・マリア・イネスは帰天しました。

 

2021年7月6日火曜日

すべての若者への、すばらしいメッセージ

 

教皇フランシスコ使徒的勧告 『キリストは生きている』より

若者への素敵なメッセージがあるのでご紹介します。

            

全ての若者への、すばらしいメッセージ

いかにしても、すべての若者に、今もっとも重要なこと、第一のことを、口にせずにはいられないことを、お伝えしたいと思います。だれもが、いつでも、頻繁に、耳に入れておくべき、三大真理を含むメッセージです。

 

愛である神

まず皆さんに伝えたい一つ目の真理は、「神はあなたを愛しておられる」ということです。神はあなたが大好きなのです。人生に何があろうとも、決してこれを疑ってはいけません。いかなる状況にあっても、あなたはどこまでも愛されているのです。

  神にとってあなたは本当に大切で、取るに足らないことなどなく、あのかたにとっては大事な存在なのです。あなたは、あのかたの手でこしらえたからです。

  このかたは愛です。



 キリストはあなたを救う

 二つ目の真理は、キリストは愛ゆえに、あなたを救うためにご自分を与え尽くしたということです。十字架上で広げた腕は、際にまで手を伸ばすことができる、もっとも尊い友のしるしです。

 

 十字架上でわたしたちを罪から解放してくださったキリストは、今日もなお、完全にご自分を与え尽くす変わらぬ力をもって、わたしたちを救い続け、あがない続けておられます。十字架を見つめ、イエスにすがることで、救っていただきなさい。イエスの差し出す救いを受け入れる者は、罪と悲しみ、内面的なむなしさとを孤独から解放されるからです。だから、あなたが過ちを犯して離れたとしても、このかたは十字架の力をもって、もう一度あなたを抱き起してくださいます。決して忘れないでください。

 


このかたは生きている

 先に挙げたものとは切り離せない、三つ目の真理があります。このかたは生きている----。これはたびたび思い浮かべなければならないことです。ご自分のもたらす恵みでわたしたちを満たしてくださるかた、わたしたちを解放してくださるかた、変えてくださるかた、いやし慰めてくださるかた、そのかたは生きています。そのかたこそ、復活し、人知を超えた活力に満ち、無限の光をまとっておられるキリストなのです。

  生きているのであれば、今この瞬間も光でみたしてくださるはずです。もしそうであるなら、孤独や捨ておかれることはもう決してないはずです。だれもが去ってしまったとしても、約束どおりこのかたは、とどまっておられます。目には見えずともその存在をもってすべてを満たしてくださり、あなたがどこに行こうともあなたを待ち続けておられるのです。

2021年6月16日水曜日

      御聖体の宣教クララ修道会の70周年、40周年の記念

 
 御聖体の宣教クララ修道会は、1951年6月22日に聖座から認可されてから、今年で70年になりました。また、1981年7月22日には、創立者である福者御聖体のマドレ・マリア・イネス・テレサの帰天40週年を迎えます。

 この記念の年に、本修道会は様々なイベントを企画しました。下記のプログラムは、日本地区として行なうものと、ローマの総本部での開会式と講話を載せたものです。オンラインのリンクが決まったら、後ほどお知らせいたします。

 どうぞ、ごらんください。







2021年5月17日月曜日

マリア様への思い


 

 宣教クララ会の創立者、福者マドレ・マリア・イネス・テレサは本当にいつでもマリア様と共にすべてを行った方です。Vamos María(マリア様、さあ始めましょう、行きましょう)」というのが自然と口をついて出た言葉でした。グアダルペのマリア様から、個人的なお約束を受けたくらいの方ですから、どれほどマリア様と親しかったかがわかります。 

 メキシコから日本に来ている若いシスターも何か始めようとするときに、「Vamos María」と口ずさんでいます。若い時から、マリア様に親しんで、ともに歩んできたからでしょう。

私がマリア様のことを思うときは、なんだか願い事をするときが多いと感じます。何かを始める時、特に自信がない時に「マリア様、助けてください」と願います。また、お台所で煮物などをしていて「味がどうも・・・」というようなときに「マリア様どうぞ味を直してください」というように。自分では、もうこの味はどうにもならないと思っていても、食事の時間に、周りの人が「おいしい」と言ってくれて、自分でも恐る恐る口に入れてみると、「おや?」と思うことが何度もありました。

そのほかにイエズス様にこんなことを願うのはと、気が引けるというようなときにもマリア様になら願えます。こう考えてみると、やはりお母さんだからということなのでしょう。

メキシコの方たちとはだいぶ違いますが、それでもお母さん、マリア様に対する、思いはそれでいいのかなとも思います。

2021年5月9日日曜日

聖母マリアと召命のプレセント(その②)


 違う道を探そう。でも忘れられない。・・・そんなこんなで8年が過ぎたある夜、「ぐずぐずしているうちに時間は過ぎてしまう。修道院だって年齢制限があるかも知れない!」 とシスターTの心が高ぶり、修道女になるために洗礼を受けることを決心しました。そして教会の入門講座で勉強始めたのです。1年間の勉強で、”小説の主人公の生き方はイエス様が教えた生き方だったのだ” “主人公の彼女を通して主イエス・キリストに魅了されたのだ” とシスターTは気づいたのでした。 

 洗礼を受ける3か月前、知り合った信者のご婦人に、“修道女になりたい望みがあるが修道女の知り合いもなくどうやって探したらいいか考えている” とお話ししたところ、次にお会いした時本会の“召命黙想会”の案内が載っているカトリック新聞の切り抜きを持ってきてくださいました。シスターTはそれに申し込みました。そこで初めて出会った修道女は明るく気さくだったので安心しました。参加者との交流もありとても和やかな雰囲気の中行われた黙想会初体験の印象はとても良いものでした。他の黙想会にも参加しました。黙想会に参加する度にイエス様のことを想いながら祈ることに心地よさを感じ、世俗のことはむなしいことに思えました。自分の全てを賭けてイエス様に付いて生きていきたい望みは揺るぎないものであることを徐々に確信していくことができました。





  ところが、また迷いが始まりました。召命黙想会で知り合った参加者が話していた「私は呼ばれているような気がする」というフレーズ、ずっと聞き流していたのに、急に気になりはじめたのです。 “イエス様が夢に出できたこともないし、ささやきを聞いたこともないので、私は呼ばれているような気がしない!” ただ私自身の望みを実現したいために押しかけて行くことをイエス様は喜んでいないのでは? そんな考えが頭から離れず心が揺らぎ始めました。先のご婦人にそのことをお話しすると、指導を受けるためにある神父様を紹介してくださいました。霊的指導を引き受けてくださった神父様のお答えはこうでした。「“ずーっと気になってしょうがない”  “忘れられない”  そのことを   “呼ばれている”  というのです。」 その言葉を耳にし、迷いから解放されました。


 本会の召命担当の方の導きに助けられて入会に至ったのは、あの小説との出会いから15年後の40歳の時でした。マリア様の「即答」には程遠いシスターT の「はい」でしたが、それから16年経った今もシスターTは、神様からプレゼントされた修道召命と、それを導き育んでくださった方々に感謝しています。そして召命は入会して終わりではありません。日々神様への「はい」を果たすためには自我との戦いがあります。シスターTは度々自分の弱さに負けますが、その度に新たに生まれ変わる力をイエス様から頂いています。呼んでくださったイエス様に少しでも喜んでいただける修道女になることが唯一の望みです。 

 


イエス様の呼びかけかたは多種多様です。

       5月、マリア様の月。マリア様の召命を想い巡らしながら、

「わたしはどうかな?」と少し考えてみてはどうでしょうか。

天使ガブリエルに代わる“サイン”に気づくかもしれません


2021年5月2日日曜日

聖母マリアと召命のプレセント(その①)

5月はマリア様の月。

 私たちのお母さん、大好きなマリア様を讃え特にお祈りを捧げる月です。 マリア様は、預言者によって約束されている救い主が来られるのを持ち望んでいました。そんな時に天使ガブリエルから‘救い主の母となる’神のお告げをお受けになったのです。私たちがマリア様に惹かれる理由はたくさんあります。中でも、先々の心配を抜きにして神様から受けた使命に「はい」と即答した年若いマリア様に感動しない人はいないでしょう。
 この神様から受けた使命のことを「召命」といいます。一般的に司祭、修道生活への神様からの招きのことをいうようですが、広い意味で 結婚、独身生活、職業など、各自に神様から与えられた使命のこともそういえます。
 さて、マリア様の場合のように天使ガブリエルから「あなたの召命は・・・」と伝えていただけると分かりやすいのですが、そうはいかない人間の私たちは 自分の召命は何なのか分かりかねて時間を費やしてしまうことがあります。40歳で入会した本会のシスターTもそんな一人でした。 これから シスターTの召命について2回に分けて紹介したいと思います。
 

 シスターTは東北のある小さな町で生まれ育ち、周りには教会もなく、司祭、修道者の姿を目にしたこともなく、信者の知り合いも一人もおらず、キリスト教とは全く関わりのない生活をしていました。そんなシスターTが、福祉施設に勤めて数年後、バザーの為に頂いた古本の整理に駆り出された後、『がんばったから』と何か1冊古本をもらっていくよう一緒に仕事をしていた本好きの先輩から勧められました。中々決められずにいると、「これなんかどうだ?」と渡されたのが 曽野綾子著 「時の止まった赤ん坊」でした。 早速その夜から読み始めました。 「上」を読み終えて「下」に進み、そしてまた「上」「下」・・・まるで小説に吸い込まれてしまったような数日が続きました。この小説はマダガスカル島にある修道院が経営している貧しい産院で産婆として働く修道女(入江茜)を主人公にして描かれた作品でした。読者をこれ程に感動させる主人公は「全ては、神様のためにやっていること」と言います。「神様のため?」 よく理解できませんでしたが、なぜか、全く無縁だった修道女の存在が身近に感じられたのです。 「なんて素敵な生き方だろう。私も彼女のように生きたい!」と思ったのでした。シスターT25歳になったばかりの頃の事でした。でもその望みを否定する考えが次々に浮かびます。“信者でもないのに修道女になりたいなんて、一時の憧れにすぎないに決まっている。” ”自由気ままに生活している私が神様のために人生を捧げるなんてできるはずがない。“etc・・・そこでシスターTは”海外ボランティア“に行くことにしました。人生を全て捧げるのは難しいけど2年間なら捧げられると思ったのです。それが終わったらもう修道女のことは忘れているだろうと考えていました。
 

海外ボランティアから帰ったのは30歳の時。まだ修道女への想いは消えていませんでした。出会ったカトリック信者の方に「実は修道女に興味がある」と話すと、それならば洗礼を受けなければと、ごミサに誘って下さるので何度か参列したのですが、そのごミサがつまらないと感じられました。困ったことに、ごミサを理解するために勉強したいという望みも湧き上がらなかったのです。シスターTにとって『修道女になる』ということと『カトリック信者になること』つまり受洗することは全く別物だったのです。これは修道女になりたい望みはもうあきらめた方がいいという決定的な気づきだとシスターTは思いました。  
 ・・・でも気になる でも・・・。