2012年3月5日月曜日

カトリック新聞 2011年10月23日



20111023日にカトリック新聞

御聖体の宣教クララ修道会                          創立と同時に日本へ

メキシコから「ほほ笑み」を

メキシコで創立された御聖体の宣教クララ修道会(日本地区長あんへれす・トレス修道女)は、ことし創立60周年と日本宣教60周年を迎えた。来年4月には創立者のマリア・イネス・テレサ・アリアス修道女(190481)が列福される。現在、世界14カ国で約700人の会員が、「観想」と「活動」を大切にしつつ、1人一人と直接に触れ合う「ほほ笑みの宣教」の使徒職に励んでいる。経済的にも決して余裕があるわけではなかったメキシコの修道会が、創立と時をほぼ同じくして、なぜ自分たちよりも困窮していた戦後の日本を宣教地に選んだのか。その活動と創立者の精神について、同会のマリア・ゴレッティ石塚修道女に話を聞いた。

御聖体の宣教クララ修道会の日本地区では現在、メキシコ人、コスタリカ人、日本人の47人の会員が、幼稚園などの教育事業や、女子寮の運営、黙想者の世話などに従事している。また日本からは白幡和子修道女や根岸美智子修道女がアフリカの最貧国シエラレオネに派遣され、内戦で傷付いた子どもたちの教育に奮闘している。

一方、創立国のメキシコでは先住民のためのプロジェクトとして、学校教育、社会参加への支援、地域社会づくり、生活水準の向上などに尽力し、学校では先住民の修道女も授業の担当者として活躍しているという。「世界を駆ける宣教女」と呼ばれた創立者のマリア・イネス修道女は、「どこに居ても、自分の置かれた場所が宣教の場」という姿勢を貫き、日の前にいる1人1人を大切にした。石塚修道女はこう説明する。「私たちは、アイロンをかけていても、食器を洗っていても、その仕事を祈りと犠牲の精神で行えば、それは人々の魂を救うことにつながるとかんがえています。ですから、台所も洗濯場も『宣教の場』なのです。また、私たちの宣教方法は『ほほ笑み』です。どんな時もほほ笑みながら、人々に祈りの気持ちで出会うことを大事にしています」マリア・イネス修道女は「すべての人が神を知り、愛するようになること。それが私の望む唯一の報いです」と会員たちに話し、その生涯を神への揺るぎ無い信頼のうちに、喜びと単純さをもって生きたと伝えられている。

観想会から活動修道会へ

マリア・イネス修道女は、もともとは観想クララ会の会員だったが、聖霊に促されて、人々に直接出会って宣教する「直接宣教」への思いを強め、1945年、観想も守る活動修道会「御聖体の宣教クララ修道会」をメキシコで出足。同会は51年、バチカンから正式に認司された。

「本当は日本で創立したかったそうです。イエズス会のペドロ・アルペ神父が、メキシコに行った時、修道女の集まりで、原爆投下された敗戦直後の広島の様子を伝えたといいます。その話に心を打たれた創立者は、修道会が認司されると同時に、日本に4人の会員を派遣しました。ですから、私たちの会では、日本地区は“長女”と呼ばれています」

戦争の傷跡が残る日本に派遣された修道女たちは、活動資金もなく、言葉も文化も分からない中で、当時フランシスコ会の会員たちや日本に駐留していた米軍兵士とその家族の援助を受け、ただ神を信じて活動を続けた。現在、黙想者の世話をする長野県の軽井沢修道院では、かつては旧満州開拓団の引揚者の子どもの養育に携わり、会員自身も牛や豚を飼い、鶏を育てて卵を売り、不慣らながらも自給自足の生活に励んだという。

聖体礼拝とグアダルペの聖母

また同会で大事にしているのは、「聖体礼拝」を行うことと、「グアダルペの聖母」の普及だ。グアダルペの聖母は、1531年、メキシコ市郊外のテペヤックの丘で、先住民のホアン・ティエゴに出現した聖母マリアのこと。聖母はその「ご出現」のあかしとして、ホアンのマント(ティルマ)に、先住民の姿をした聖母マリアを浮かび上がらせた。人為的に描くのは不可能と言われるそのマリアの肖像は、グアダルペ大聖堂に安置され、「グアダルペの聖母」と呼ばれるようになり、今も巡礼者が後を絶たない。

「グアダルペの聖母のメッセージは、『母である私はここにいるので、何も心配することはありません』というものです。私たちは、そのメッセージを多くの人々に伝えていきたいのです」と石塚修道女は話す。

来年(2012年)421日、同会創立者の列福式が、メキシコのグアダルペ大聖堂で行われるが、日本地区としては418日から1週間、日本からの巡礼団を組んで列福式に参加することを決めている。また来年(2012年)10月には、東京カテドラルで岡田武夫大司教(東京教区)の司式で、列福記念ミサも実施する予定だ。詳細は、Tel.03-34294823同修道会まで。

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